成年被後見人とはなんですか
成年被後見人とは、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者で、家庭裁判所より後見開始の審判を受けたものをいいます(民法7条、8条)。
精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあるとは、精神的障害により、法律行為の結果が自己にとって有利か不利かを判断することができない程度の判断能力であることが、普段の状態であることをいいます(たまに判断能力が回復することがあってもかまいません)。
成年被後見人には、家庭裁判所により成年後見人が付されます(民法8条、843条1項)。
成年被後見人の法律行為は、日用品の購入その他日常生活に関する行為以外は、取り消すことが可能になります(民法9条)。
この取消権は、成年被後見人や代理人である成年後見人のみが行使することが可能です(民法120条1項)。
一方、成年後見人は、成年被後見人の財産に関する法律行為について被後見人を代表することになります(民法859条1項)。
したがって、不動産を処分したり、賃貸するなどといった行為をする場合に、成年被後見人が単独でこれをしたとしても、これら行為は後に取り消される可能性がある一方、成年後見人は、単独でこれら行為を有効に行うことができることになります(ただし、居住用不動産については家庭裁判所の許可が必要です(民法859条の3))。
本人の精神能力により法律行為が無効になる制度として、民法上、意思能力がない場合がありますが、意思能力の有無は個別の法律行為の時点での判断になるのに対し、
成年被後見人の場合、画一的に処理されるという違いがあります。
したがって、仮に、成年被後見人が法律行為の時点で精神能力があったとしても、その行為は取消可能ということになります。
関連Q&A