成年後見人にはどのような権限がありますか
成年後見人には、成年被後見人に関する包括的代理権と、取消権が付与されます。
成年後見人には、被後見人の財産行為全般について、当然に包括的な代理権が与えられています。
保佐人や補助人の場合には、代理権が与えられない場合もあることとは対照的です。
ただし、成年後見人が被後見人の居住用不動産を処分する場合には、家庭裁判所の許可を得なければなりませんし(民法859条の3)、被後見人の行為を目的とする債務を負担する場合いは、被後見人の同意がなければいけません(民法859条2項、824条ただし書)。
また、成年被後見人と利益が相反する行為については、特別代理人を選任して、特別代理人に代理行為を行わせなければなりません(民法860条、826条)。
さらに、養子縁組、遺言等の身分行為についても、代理して行うことはできません。
成年後見人は、成年被後見人の日用品の購入その他日常生活に関する行為を除いて被後見人が行った法律行為について取消権が付与されます(民法9条)。
たとえ、契約の相手方が、成年被後見人であることを全く知らないままに契約を締結してしまったとしても、成年後見人は成年被後見人の行為を取り消すことができます。