成年後見人が不動産を処分する際に注意すべきことはなんですか
成年後見人には、包括的な代理権が付与されているため、成年被後見人の不動産を処分することも可能です。
処分には売買のほか、賃貸、担保権設定なども含まれます。
ただし、居住用不動産と非居住用不動産とに分けて考える必要があります。
まず、非居住用不動産については、後見人の判断でこれを処分することができます(ただし、後見監督人が選任されているときは、後見監督人の同意を得る必要があります(民法864条))。
ただし、必要かつ相当なものである必要があることはもちろんです。したがって、被後見人の生活費や医療費を捻出するための売却であれば認められますが、親族等を援助する目的で不動産を処分することは基本的には認められません。また、処分の価格等も一般の取引慣行に照らして相当である必要があります。
一方、居住用不動産の処分については、家庭裁判所の許可が必要となります(民法859条の3)。
ここで、居住用不動産とは、生活の本拠として現に居住の用に供している、または居住の用に供する予定がある建物及び敷地をいい、仮に被後見人が現在は施設入所中だったとしても、それまで居住していた建物はこれに含まれます。
家庭裁判所の許可は、後見人が家庭裁判所に申立てを行って得ることになります。
家庭裁判所の許可を得ない処分は無効になりますので、処分の前に家庭裁判所の許可を得る必要がありますし、処分先には事前にその旨を伝えておくとよいでしょう。